写経


写経は、一字書くたびに、一体の仏様をお刻みすること、といわれます。
このことを心において、ただ一人、一心にお経を写すとき、邪念は滅却され、心の安定が得られるのです。
腹の立つとき、人をうらみにおもうとき、ただひたすら悲しみに打ちひしがれるとき、
写経をしてみてください。

写経を書き終えたときには、腹立たしさも、うらみも、悲しみも、消えうせていることでしょう。
写経の文字は誰にも読める楷書できっちり書かれた、長文の細字です。これを書きぬくこと、そこには、
忍耐と集中力が培われるのです。
香を焚き、姿勢を正し小一時間集中して書写することは、書く禅なのです。
写経を続けることで、いつしか、書が上達するなど、実用的にも応用されるのです。
鑑賞眼も養われ芸術を愛するこころのゆとりもうまれてくるでしょう。